・・・"Murmur"するよりは"Strike"せよ、"Complain"するよりは"Curse"せよ。新らしき思想の世界を拓かんとする羊の如く山の奥に逃げ込まずに獅・・・ 内田魯庵 「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」
・・・そこでストライキをやる。小作争議をやる。やらずにいられない。その争議団が、官憲や反動暴力団を蹴とばして勇敢にモク/\と立ちあがると、その次には軍隊が出動する。最近、岐阜の農民の暴動に対して軍隊が出動した。先年の、川崎造船所のストライキに対し・・・ 黒島伝治 「入営する青年たちは何をなすべきか」
・・・農民の暴動や大ストライキに××が出動するのは、それを裏書きする一つの証拠である。 そこで、そういう、帝国主義的、――軍国主義的実質を曝露し、労働者農民大衆に働きかけ、大衆をして×起させることは、プロレタリア文学の任務である。これは、戦争・・・ 黒島伝治 「反戦文学論」
・・・ M――鉱業株式会社のO鉱山にもストライキが勃発した。 その頃から、資本家は、労働者を、牛のように、「ボ」とか、「アセ」「ヒカエ」の符号で怒鳴りつける訳にゃ行かなくなった。 M――も、O鉱山、S鉱山、J鉱山では、昔通りのべラ棒な・・・ 黒島伝治 「土鼠と落盤」
・・・お君はストライキの準備を進めながら、暇を見ては仕事を探して歩いた。この頃では赤ん坊の腹が不気味にふくれて、手と足と頸が細って行き、泣いてばかりいた。――お君は気が気でなかった。――何事があろうと、赤子を死なしてはならないと思った。 資本・・・ 小林多喜二 「父帰る」
・・・事実兄は、ぼくを中学の寄宿舎に置くと、一家を連れて上京、自分は××組合の書記長になり、学校にストライキを起しくびになり、お袋達が鎌倉に逃げかえった後も、豚箱から、インテリに活動しました。同志の一人はうちに来て、寄宿から帰ったぼくと姉を兄貴へ・・・ 太宰治 「虚構の春」
・・・A君は、ただちに同志を糾合して、ストライキを計った。全学級の大騒ぎになった。私は、恐怖のためにわなわな震えていた。ストライキになりかけたとき、その教師が、私たちの教室にこっそりやって来て、どもりながら陳謝した。ストライキは、とりやめとなった・・・ 太宰治 「酒ぎらい」
・・・ いつだったか、印刷工がストライキをやって東京じゅうの新聞が休んだ事があった。あの時に私はどんな気持ちがしたかを思いかえしてみた。あまりはっきりと思い出せないが、少なくも私はあの時そんなにひどく迷惑を感じたような記憶がない。もちろん毎朝・・・ 寺田寅彦 「一つの思考実験」
・・・太平洋からまともにはげしい潮風の吹きつけるある南国の中学にレコードをとどめた有名なストライキのあらしのあった末に英国仕込みでしかも豪傑はだの新しい校長が卒業したての新学士の新職員五六人を従えて赴任すると同時にかび臭いこの田舎の中学に急に新し・・・ 寺田寅彦 「野球時代」
・・・新聞社でストライキに加わって解雇され、発電所で「労働問題演説会」を主催した一人だというので検挙され、印刷工組合の組織に参加すると、もう有名になってしまって、雇ってくれるところがなくなっていた。仲間の小野は東京へ出奔したし、いま一人の津田は福・・・ 徳永直 「白い道」
出典:青空文庫