一 講演 作家で講演好きというたちの人は、どっちかといえば少なかろう。私には苦手である。テーブル・スピーチでも、時と場合とでは相当に閉口する。昔は、大勢のひとの前に自分一人立って物をいうなどということ・・・ 宮本百合子 「打あけ話」
・・・の出版記念会が一九四〇年の春にもたれたとき、テーブル・スピーチに立った人々は、云い合わせたように、壺井栄さんの温く明るく生活の営みを愛して生きぬいてゆく人間としての実力を高く評価した。同時に、ある人は、壺井栄さんがこの頃小説をかき出したにし・・・ 宮本百合子 「壺井栄作品集『暦』解説」
・・・その社としては懐古的な意味をもった催しであったが、主幹に当る人はそのテーブル・スピーチで今日社が何十人かの人々を養って行くことが出来るのも偏に前任者某氏の功績である云々と述べた。今日に当って某誌が日本の文化を擁護しなければならぬ義務の増大し・・・ 宮本百合子 「微妙な人間的交錯」
出典:青空文庫