・・・ 第八十段にディレッタンティズムに対する箴言がある。「人ごとに、我が身にうとき事をのみぞこのめる」云々の条は、まことに自分のような浮気ものへのよい誡めであって、これは相当に耳が痛い。この愚かな身の程をわきまえぬ一篇の偶感録もこのくらいに・・・ 寺田寅彦 「徒然草の鑑賞」
・・・女の職業と仕事との分裂した評価が女の側からさえ行われている間、仕事そのものの内容や評価も、自然客観的には低められ、歪み無気力なディレッタンティズムの中にかがまってしまうことになると思います。〔一九三七年七月〕・・・ 宮本百合子 「現実の道」
・・・寺田氏の科学的業績を云々する資格はもとよりないのであるけれども、文学的遺業について見ると、寺田氏がこの人生に向った角度にあらそわれぬ明治時代色があり、同時代の食うに困らなかった知識人の高級なディレッタンティズムが漂っているのである。文学的才・・・ 宮本百合子 「作家のみた科学者の文学的活動」
・・・ Y、Y 賢い頭、見識 根気なさ ディレッタンティズム I、A 小さい才能、打算 結婚難 恋愛の経験者 性慾の自覚と、胸でつき当らないための結婚難 家庭生活に対・・・ 宮本百合子 「一九二五年より一九二七年一月まで」
・・・また、保田与重郎君の幻想と小宮豊隆氏の高度な知的ディレッタンティズムが肩と肩とを抱き合わせ得ないことも自明である。さらに長谷川如是閑氏が、文化の発展との関係において民衆のもつ自由と統制をどう見ているかということと、林房雄氏の日本観との間に或・・・ 宮本百合子 「近頃の話題」
・・・ 平塚らいてう氏たちによってされた青鞜社の運動は、沢山の幼稚さやディレッタンティズムをもっていたにしろ、この社会へ女というものの存在を主張しようとする欲望の爆発として、歴史的なものであった。原始の女性は太陽であった。婦人の自由は社会生活・・・ 宮本百合子 「若き世代への恋愛論」
出典:青空文庫