・・・……ブル新、盛に『コップ』をデマっているらしいよ」「ほか、無事かしら」「わかんない。……でも」 一寸言葉を区切り、やや早口で、「――無事らしいね」 彼が誰のことを云っているか分って、私は口に云えぬ感じに捕えられ、黙って大・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・ソヴェトの防衛ということは、わたしたちが外からデマを通じて理解するよりも、はるかに基本的、人権的問題ですから。 たとえば、社会主義社会の子供の教育は、階級の意識で画一されているという点が指摘されるけれども、私にいわせれば、子供を教えない・・・ 宮本百合子 「質問へのお答え」
・・・ ――……実にデマが利いているんだなあ。 ――嘘かい? ――ソヴェトのプロレタリアートや彼等の党は偏執狂じゃないよ。あらゆる人間の才能を十分発揮させようとしているのだ。ただ、ソヴェトは今特殊な歴史的過程を生きつつある。 緊・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・これはデマとして大した利用価値はなかったようだ。 下山事件は二週間たった今日やっと自殺説が表面に出されてきている。この事件で検事局が警視庁の捜査本部へ殺人の方向で進めてくれと特に注文をつけ、捜査本部はかならずしも同調しなかったことは世人・・・ 宮本百合子 「犯人」
・・・ 国際帝国主義によって反ソデマがますます活溌にまかれるとき、題材は第二次大戦前にとられているにしろ、ソヴェト同盟そのものに対する信頼をひろめ、そのことによって日本の革命の前途を確信させるためにもまた一つの階級的意義をもつと信じます。・・・ 宮本百合子 「文学について」
・・・ 私をついに釈放した官憲は、出てから後、私と大衆とを切りはなし、私の積極性を奪おうとして、いろいろのデマを放った。父親が詫り状を書いたから許されたとか、私がもう仕事をやめて引込むといったとか。いまなお彼らの陰険な手は私のまわりから去って・・・ 宮本百合子 「ますます確りやりましょう」
出典:青空文庫