・・・たとえばニュートンの運動の方則というものがある。これは中学校の教科書にでも載せられていて、年のゆかない中学生はともかくもすでにこれを「理解」する事を要求されている。高等学校ではさらに詳しく繰り返して第二段の「理解」を授けられる。大学にはいっ・・・ 寺田寅彦 「相対性原理側面観」
・・・いつかのニュートン祭にやはりこの「エルケーニヒ」か何か歌われたことがあると思うが、そういうときでも先生は、「要するに、やるという事がハウプトザッヘだから……」と言って、決して巧拙のできばえなどは問題にされなかった。 酒も煙草も甘いものも・・・ 寺田寅彦 「田丸先生の追憶」
・・・上述のガリレー、ニュートンの発見に関する逸話はその実信ずるに足らぬ俗説であるが、しかしこれらの発見をするためにはまた非凡な準備素養を要した事は言うまでもない。ルベリエが海王星を発見したのも、天王星の運動を精細に知りその運動の説明しがたき小不・・・ 寺田寅彦 「知と疑い」
・・・ このように時を空間化して取り扱ったために得られる便利は多大なものであるが、しかし人間の直感する「時」の全部はtの符号に含まれていない。 ニュートンの考えたような、現象に無関係な「絶対的の時」はマッハによって批評されたのみならず、輓・・・ 寺田寅彦 「時の観念とエントロピーならびにプロバビリティ」
・・・ 近ごろ、アインシュタインの研究によってニュートンの力学が根底から打ちこわされた、というような話が世界じゅうで持てはやされている。これがこういう場合にお定まりであるようにいろいろに誤解され訛伝されている。今にも太陽系の平衡が破れでもする・・・ 寺田寅彦 「春六題」
・・・昔ニュートンは光を高速度にて放出さるる物質の微粒子と考えた。後にはエーテルと称する仮想物質の弾性波と考えられ、マクスウェルに到ってはこれをエーテル中の電磁的歪みの波状伝播と考えられるに到った。その後アインスタイン一派は光の波状伝播を疑った。・・・ 寺田寅彦 「物質とエネルギー」
・・・このような人間の力学が吾人のと同様であれば吾人の原子的現象の説明は比較的容易であろうが、実際素量説などの今日勢いを得て来たことから考えても原子距離における引斥力の方則をニュートンやクーロンの方則と同じものとは考えがたい。そうすればこの原子的・・・ 寺田寅彦 「物理学と感覚」
・・・後にコペルニカスの地動説が出て前説よりも遥かに簡単に天体の運動を説明し得る事が分り、ケプレル、ニュートンを経ていよいよ簡単な運動の方則で天体の諸現象を述べ尽す事が出来た。しかし今日ではある簡単な問題を考える場合には依然としてプトレミーの考え・・・ 寺田寅彦 「方則について」
・・・文学に限らず科学の方面でも今どきベーコンやニュートンの書いたものを読むのは気がさすような周囲の状態である。古いものを新しい目で見るのや、新しいものを古い目で見るような暇つぶしの仕事は、忙しい今の時代には、暇人の道楽でなければ、能率の少ない事・・・ 寺田寅彦 「丸善と三越」
・・・牛頓はニュートンと読むのであるが実に妙な名前をつけたものだと思う。もっとも二年生のとき牛頓祭という理科大学学生年中行事の幹事をさせられたので、それが頭にあったためかもしれない。また、短文の方は例えば「赤」とか「旅」とかいう題を出して、それに・・・ 寺田寅彦 「明治三十二年頃」
出典:青空文庫