・・・巻末の解説を読むと、これは、ドイツ、オーストリア、ハンガリーの巻であることがわかります。いちども名前を聞いたことの無いような原作者が、ずいぶん多いですね。けれども、そんなことに頓着せず、めくらめっぽう読んで行っても、みんなそれぞれ面白いので・・・ 太宰治 「女の決闘」
・・・yをjに、語尾のrをtにするとシナの現代音になる。ハンガリーの夏は nyr。コクネー英語で hot は ot であるがこれは日本語の「アツ」に似ている。フランスの夏が t であるのもおもしろい。アイヌの夏 sak は以上とは仲間はずれである・・・ 寺田寅彦 「言葉の不思議」
・・・作者はハンガリー人で、日本の留学生のことを仕組んだものだそうです。たいへん人気がいいそうであります。主人公の日本人の名がドクトル・タケラモ・ニトベというのだそうで、このタケラモだけでも行って見る気がしなくなります。人の話によるとなかなかよく・・・ 寺田寅彦 「先生への通信」
・・・たとえばリュート類似の弦楽器として概括さるべきものに、トルコのコプズ、ルーマニアのコブサ、またコブズ、ロシヤ、ハンガリーへんのコボズなどがある。それからシベリアの一地方でコムスというのは、ふくれた胴に皮が張ってあるが、弦は二本で五度に合わす・・・ 寺田寅彦 「日本楽器の名称」
・・・次女モニカはハンガリーの美術史家の妻。三男ミハエルはヴァイオリニスト。末娘のエリザベート・マンがピアニストで、イタリーの反ファシスト評論家ボルゲーゼと結婚しているそうである。 内山氏の紹介によると、エリカ・マンは一九〇五年生れで、日本流・・・ 宮本百合子 「明日の知性」
・・・ここには、壁新聞やピアノや、この前ハンガリーの共産青年同盟員が訪ねて来たときみんなでとったという写真や、シュロの植木鉢などが飾ってある。 あっちこっちの隅で、本をよんだり、学校の宿題をやったりしている一隅で、わたしたちは長い間、ピオニェ・・・ 宮本百合子 「従妹への手紙」
・・・ ドイツへ、チェッコ・スロヴァキアへ、イギリスへ、ハンガリーへ、日本へ! 世界革命文学の第二回国際会議への召集状は発せられた。 第十三回革命記念日の数日前、一九三〇年十一月一日の朝、モスクワの白露バルチック線停車場は鳴り響く音楽と数・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・続いて、キッシュ、ビリー・ハルツハイム、エルンスト・グレーゼル。ハンガリーのプロレタリア詩人カニャート。婦人作家も来た。ソヴェトに作品が紹介されているアンナ・ゼーゲルスだ。「ラップ」の書記長アヴェルバッハの挨拶で、簡単ながら熱心な歓迎の・・・ 宮本百合子 「ソヴェト文壇の現状」
・・・バルザックがヴェニスやハンガリー、ポーランドやロシアなどで熱烈に愛読され、社交界の貴婦人、紳士がバルザックの作品に現れた人物の名を名乗ってその役割りに扮そうという言いあわせをして或るシーズンはランジェー公夫人だのラスティニャクが社交界に現れ・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
出典:青空文庫