・・・所謂ロシア気質というものは、イリフ、ペトロフ両人の極めてダイナミックな社会精神と感情の活動を一貫してどこにも古風なバラライカの響となってつたわってはいない。彼等は新しい人間たち、新しい文学のつくりてである。それにもかかわらず、「黄金の仔牛」・・・ 宮本百合子 「音楽の民族性と諷刺」
・・・通りすがりの窓から内部の板壁に貼ってある専門地図、レーニンの肖像、数冊の本、バラライカなどが見えた。キャンプ用寝室も置かれてある。 折から手のすいていた四五人の労働者に、珍しく更紗のスカートをつけた若い女が一人混って、試掘の行われている・・・ 宮本百合子 「石油の都バクーへ」
・・・太鼓、笛、トロンボーン、ギター、バラライカ、などが片づけてある。音楽サークルは五日に一遍とか日をきめて音楽学校からの指導者をまねき、なかなか熱心に勉強します。春になって寒いモスクワの公園の樹々が緑になると、あっちこっちの音楽堂で、盛んに音楽・・・ 宮本百合子 「ソヴェト同盟の音楽サークルの話」
・・・そこで主として吹奏楽、それでなければギターやバラライカを主にしたもの、それで一週間に何度と仕事のあとそこへ行って研究する。例えばメーデーの時、革命記念祭のデモンストレーションの時には、各工場は自分の工場の音楽隊を先に立てて行進して来る。・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
・・・赤坊もそれより大きい子供たちもここではロシアのバラライカを逆に立てたような顔付をしていた。逆三角は人間の顔ではない。だから見る者の心臓にその形が刺さった。耳の横や食い足りない思いをして居る大きな口のまわりに特に濃く、そして体全体に異様にねっ・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
出典:青空文庫