・・・ ファシストの手先となった社会民主主義、第二インターナショナルがどんな階級的裏切りを行っているか。それとの闘争も形象化されていない。 ただ一つ総てを貫き流れていた力強いものは、ソヴェトのプロレタリア作家たちが、大衆とともにこの階級的・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・「……ファシストの理論はなっていないようだが……これで赤松あたりが大分関係があるらしいね。案外な役割を買って出ているらしいですよ」 最近分裂して国家社会党を結成した赤松のことは関心をひき、自分は、「今度の事件にでもですか?」・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・ ナチス政権の下においてドイツ人民が苦しんだとおり、ファシスト・イタリーでイタリー人民が苦しんだとおり日本の人民がその生活の歴史に前例のなかった程深刻な犠牲を強いられた事実を語るものです。 そしてドイツやイタリーにおいて誤った政権の・・・ 宮本百合子 「国際民婦連へのメッセージ」
・・・二・二六事件の秘史というものが、当時の内部関係者であったファシスト軍人によって主観的に合理化してかかれたものが公表されるし、日本海軍潰滅前後の物語も、当時の連合艦隊参謀長というような人々によって執筆されはじめた。 これらの記録には、どれ・・・ 宮本百合子 「ことの真実」
・・・然し一九三四年という年は二月のパリ騒擾事件におけるファシストの狂暴を契機として、フランス思想界に、左右の対立が歴然表面化した時であった。反ファシズム団体が政治的に結合したばかりでなく、文化を擁護するためにフランスの思想家、作家が反ファシスト・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・とか「神の支配するファシスト独裁に賛成だ」などと話して、当時ナチス・ドイツのファシズムに反対だったアメリカの輿論からはじき出された。けれどもこんにちでは事情がちがっている。共産主義の敵でさえあれば、それが何であろうと歓迎せずにいられなくなっ・・・ 宮本百合子 「再武装するのはなにか」
・・・人民生活の収奪のひどさに苦しむ一般の感情に乗じて、きょうの日本のファシストは左からぐるっと右へまわった愛国主義の鼓舞、民族主義、内閣打倒を思っている。 丹羽文雄氏は、作家として戦争に反対する立場を社会に向って明らかにした。したがって作家・・・ 宮本百合子 「作家は戦争挑発とたたかう」
・・・この新方法は、これまでの日本のむきだしなファシストたちの知慧では及びもつかない巧みさで心理的に準備された。そして、まだしっかりと民主化していない日本の多くの心、受け身に政治への不信を抱いている一般の感情にいつとはなし作用して、反民主的な諸傾・・・ 宮本百合子 「三年たった今日」
・・・ 事実、ジイドのこのソヴェト紀行は世界のファシストの陣営から拍手をもって迎えられた。ファシストの新聞は彼を仲間と呼んで歓迎している。フランスの週刊雑誌『カンジット』はジイドをトロツキイストと呼んでいるということも肯ける。そして、これらの・・・ 宮本百合子 「ジイドとそのソヴェト旅行記」
・・・逆に闘争へ立たせるので、社会ファシストをつかって「左翼的」なかけ引きをさせ、大衆自身が内部的に統一されない気分を持つようにと悪辣な手段をつかっている。「党生活者」は敵階級のかような新手な戦術を暴露し、プロレタリアートの下からの統一戦線の重要・・・ 宮本百合子 「小説の読みどころ」
出典:青空文庫