・・・世界の一般恐慌切りぬけ策として、帝国主義日本は他のブルジョア国とともに第二次世界戦争を計画し、その口火として近くソヴェト同盟侵略戦争を始めようとしている。つまり、世界の勤労大衆の中からもり上って来る革命力ぶっ潰しの第一陣を日本の帝国主義が買・・・ 宮本百合子 「逆襲をもって私は戦います」
・・・五百十五頁の『キング』一冊に五枚一組袋入りの額面用名画というブルジョア画家の画の複製が景品について来た。 成程、この画は壁の破れたところに貼っても一寸体裁がよかろう。壁が破れても修繕はしてくれず、家賃ばかり矢の催促にくる大家に対して、借・・・ 宮本百合子 「『キング』で得をするのは誰か」
・・・ドイツやアメリカのブルジョア学者はそれを学理的にうらづけた。が、其等は資本主義国の生産事情にとっては、まことに誇大妄想的拡大であるかもしれないが、ソヴェト同盟にとっては全然実現可能の必要欠くべからざる生産拡張計画であると同時に、今度の五ヵ年・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・片手でテーブルの上に出してある巡邏表のケイ紙に印を押しながら、看守に小声で何か云っている。顔の寸法も靴の寸法も長い看守は首を下げたまま、それに答えている。「ハ。一名です。……承知しました。ハ」 金モールが出て行くと、看守は物懶そうな・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・ 机はやっぱり昔ながらのテーブルで上には馬のついた紙おさえや、ガラスのペン皿やをおいてこれを書きはじめているのですが、あなたは、上落合のこの辺を御存知かしら。 中井駅という下落合の駅の次でおりて、小学校のつき当りの坂をのぼったすぐの・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・ ファブルの名を知ったのは、多分これがきっかけであったと思う。それから、ファブルの昆虫記をすこし読んだが、これは何冊も読みつづけることが出来なかった。どういうことが読みつづけられない原因か考えていなかったのであるが、昨年本ばかり読んで暮・・・ 宮本百合子 「作家のみた科学者の文学的活動」
・・・を「小ブル的自己満足」をもってしている。又、中條という「少し太りすぎて眼鏡などかけた雌蛙」「プロレタリア文学における」「見習い女中にすぎない」者が「藤森さんやきみやぼくの小説を材料に、千切り大根の切り方の練習でもするつもりらしい。」「中條百・・・ 宮本百合子 「前進のために」
・・・ 五ヵ年計画は、体のいい軍備拡張だとブル新聞は云うが、ソヴェト同盟がホントに勤労大衆の日常の幸福のためにやっていることは、これ一事だって明らかではないか。 あがる賃銀 同じ五ヵ年計画のおかげで、ソヴェト同盟・・・ 宮本百合子 「ソヴェト労働者の解放された生活」
・・・へ行きさえすれば仕事は山ほどあり、物価はやすいし仕合わせずくめの話をする。ブル新聞では「新天地満州国」とか、日本の「大衆の幸福の鍵満州国」という風な太鼓をたたいているから、失業させられ、食う道を求めて焦っている労働者たちは到頭心を動かされた・・・ 宮本百合子 「ドン・バス炭坑区の「労働宮」」
・・・この百姓はブルトンの作男でイモーヴィルの市場の番人である。 この男の語るところによれば、かれはそれを途上で拾ったが、読むことができないのでこれを家に持ち帰りその主人に渡したものである。 このうわさがたちまち近隣に広まった。アウシュコ・・・ 著:モーパッサン ギ・ド 訳:国木田独歩 「糸くず」
出典:青空文庫