・・・所が、千五百五年になると、ボヘミアで、ココトと云う機織りが、六十年以前にその祖父の埋めた財宝を彼の助けを借りて、発掘する事が出来た。そればかりではない。千五百四十七年には、シュレスウィッヒの僧正パウル・フォン・アイツェンと云う男が、ハムブル・・・ 芥川竜之介 「さまよえる猶太人」
・・・それを一段落として、身分相応に結婚して、ボヘミアにある広い田畑を受け取ることになっている。結婚の相手の令嬢も、疾っくに内定してある。令嬢フィニイはキルヒネツグ領のキルヒネツゲル伯爵夫人になるのが本望である。この社会では結婚前は勿論、結婚して・・・ 著:ダビットヤーコプ・ユリウス 訳:森鴎外 「世界漫遊」
出典:青空文庫