・・・でないという説もあるかもしれないが、そういうことになれば、現代わが文壇でポピュラーな小説的作品中の多数のものはやはりもはや小説でなく創作でなくなるのである。創作とは空想と同義ではない。題材の取り扱いの上に作者の独創があるか無いかが問題になる・・・ 寺田寅彦 「科学と文学」
・・・永禄あるいは文禄年間に琉球から伝わった蛇皮線を日本人の手で作りかえた、それがだんだんポピュラーになったものらしい。それからシナの楽器の阮咸と三味線とが同一だとか、そうでないとかいう議論がある。また、元の時代のかの地の三弦一名コフジ、一名コフ・・・ 寺田寅彦 「日本楽器の名称」
・・・それはその命題がポピュラーでそうして伝統的権威の高圧をきかせうる場合において特にはなはだしいのである。 量的というだけならば古代民族の天文学的測定ははなはだ量的なものであった。しかし彼らは実験はあまりしなかった。上記の科学の黎明期におけ・・・ 寺田寅彦 「量的と質的と統計的と」
出典:青空文庫