・・・人間だとしたらたぶん一ポンドくらいの純アルコールを飲んだわけである。 手近にあった水銀燈を点じて玉虫を照らしてみた。あの美しい緑色は見えなくなって、さびたひわ茶色の金属光沢を見せたが、腹の美しい赤銅色はそのままに見られた。 ・・・ 寺田寅彦 「さまよえるユダヤ人の手記より」
・・・Asie. Calmann-Lvy.Ren Maublanc : "Le Haka franais." Le Pampre, No. 10/11 (1923).西洋人には結局俳諧はわからない。ポンドと池との実用的効果はほぼ同じでも詩・・・ 寺田寅彦 「俳諧の本質的概論」
・・・ 雪じるしのバタが半ポンドについて十銭あがりました。牛肉も相すみませんが今年から一斤について十銭あがります。パン値上げお知らせ。白菜は一株について四十銭ですよ。どうぞそのおつもりでお香物もあがって下さい。 私が初めて世帯をもったのは・・・ 宮本百合子 「打あけ話」
・・・その棺を買う二ポンドの金さえもフランスの亡命者から借りなければならなかった。「その金で小さな棺を買いその棺の中でいま私の可哀想な子がまどろんでいます。この子が生れた時、この子は揺籃をもちませんでした。そして最後の小さな住居も長い間与えら・・・ 宮本百合子 「カール・マルクスとその夫人」
・・・外の並木道をこした市の外廓には、新工場のポンド式ガラス屋根の反射とともに、新労働者住宅のさっぱりしたコンクリート壁が、若い街路樹のかなたに、赤い布をかぶった通行人を浮きあがらしている。 モスクワ河の岸に一区画を占める大建築が進行中だ。黒・・・ 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
・・・死海協約でおよそ八十億ポンドの塩を英国は死海から儲けるであろう。パレスタインで農業をしていた先住アラビア人は多く土地を奪われた。ジオニスト政策は猶太人労働者を労働貴族にした。「パレスタイン労働組合は資本家と争うためではない。」アラビア人労働・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
出典:青空文庫