・・・ ジイドは、ミドルトン・マリの評によれば「ほとんど取るに足らない本質的な業績を基礎として、しかも彼のようにヨーロッパ的人物となった作家は蓋し異例と云うべきであろう」ところの作家である。ジイドの箇人主義は、それが日本へも移植されたフェルナ・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・ マリ・アントワネットが宮園に百姓小家をつくらせたことは、当時の貴族の文化の健やかさを示すものとは見られず、フランス史の中で一つの頽廃の表象としてあらゆる人々に知られている。 日本の或る地方の農民は、極めて手のこんだ背い子を編む。だ・・・ 宮本百合子 「生活のなかにある美について」
・・・ 屋根と屋根との狭いすき間からマリが落ちたような月の見える細長い夜の空、郊外の空にない美があるのを感じる。〔一九二六年八月〕 宮本百合子 「空の美」
・・・フランスのロマン・ローランをはじめ多くの人類平和を守ろうとする人々はドイツのトマス・マンその他の平和を愛する人々と一つ方向にむすばれたし、オーストリアのすぐれた作家ルドウィッヒ・レーン「マリ・アントアネット」その他の伝記で日本の女性にもした・・・ 宮本百合子 「それらの国々でも」
・・・の主要な問題ではない。恋愛のいきさつ一般が人生の波瀾の中心事であると考えられている。従って、作者の腹に入って見ると、「その前夜」に描かれている恋愛の本質を「春の水」のマリヤの気まぐれな恋愛と比べて見た場合、どちらが社会的な価値において高いと・・・ 宮本百合子 「ツルゲーネフの生きかた」
・・・ツワイク「マリ・アントワネット」。ストレチー「エリザベスとエセックス」など。〔一九四八年一月〕 宮本百合子 「でんきアンケート」
出典:青空文庫