・・・威厳がありすぎるほど威厳にみちた王女エリザベスとして、妹のマーガレット・ローズと比較して語られている。数々のスナップのうちで、こんなに自然な若い母の笑顔にとけた彼女の表情はほんとにめずらしい、彼女の女として幸福を感じる瞬間は、その生活のどん・・・ 宮本百合子 「権力の悲劇」
・・・母は『新小説』だの『女学世界』だのという雑誌を毎月とっていて、そういう雑誌の口絵には洗崖などという画家が、マーガレットに結った女学生が野原を散歩しているところなどを描いたのがついていた。気に入った絵があると、母は、雁皮紙をその上にのせ、丁寧・・・ 宮本百合子 「母」
・・・ エンゲルスが今日から四十六年ばかり昔イギリスの社会民主主義的婦人作家マーガレット・ハークネスに送って彼女の作品を批評した手紙の中に、以上の消息は明らかにされ、同時に、エンゲルスは同じ手紙で文学におけるリアリズムというものは「デテールの・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・ 彼は二人の間の空間をかつての生き生きとした愛情のように美しくするために、花壇の中からマーガレットや雛罌粟をとって来た。その白いマーガレットは虚無の中で、ほのかに妻の動かぬ表情に笑を与えた。またあの柔かな雛罌粟が壺にささって微風に赤々と・・・ 横光利一 「花園の思想」
出典:青空文庫