・・・「ミゼラブル」の中でファンティーヌが往来で乱暴な男に肩へ雪の塊をおっつけられるところもあります。これはユーゴーが実際に見た出来事だそうです。案内者が萌黄色の背広を着た英国人らしいのに説明していました。萌黄の背広に萌黄の柔らかい帽子を着たこう・・・ 寺田寅彦 「先生への通信」
・・・でよびさまされた自分の中のあるものがユーゴーの「ミゼラブル」でいっそう強くあおり立てられたようである。当時まだ翻訳は無かったように思うが、自分の見たのは英訳の抄訳本でただ物語の筋だけのものであった。そうして当時の自分の英語の力では筋だけを了・・・ 寺田寅彦 「読書の今昔」
・・・ 自分はこれまでにもうたびたび猫の事を書いて来た。これからもまだ幾度となくそれをかくかもしれない。自分には猫の事をかくのがこの上もない慰藉であり安全弁であり心の糧であるような気がする。 Miserable misanthrope こ・・・ 寺田寅彦 「備忘録」
・・・ Uneasy lies the head that wears a crown. Kings frequently lamented the miserable consequences of being born to grea・・・ 夏目漱石 「文芸の哲学的基礎」
出典:青空文庫