・・・圧制や束縛が取りのぞかれたところにはじめて芽生える思想ではなくて、圧制や束縛のリアクションとしてそれらと同時に発生し闘争すべき性質の思想です。よく挙げられる例ですけれども、鳩が或る日、神様にお願いした、『私が飛ぶ時、どうも空気というものが邪・・・ 太宰治 「十五年間」
・・・このことは、やがて、リアクションとして、一部に極端な文化文学上の経済主義をおこすことになり、政治と文学との関係は、一九二〇年代の初期、プロレタリア文学運動の発芽時代に一部の実践家によって云われたような、機械論にまで逆行して行った。 これ・・・ 宮本百合子 「人間性・政治・文学(1)」
・・・の作者として一つのリアクションを示した作品であった。「水晶幻想」と「抒情歌」の間にあるこの性格は折から一九三一―二年のプロレタリア文学運動の高まりとその弾圧を背景として、ただこの作家ひとりのモティーヴが、あれから、これへ、とびうつったことと・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・ 日本の文化と西欧の文化の接触の角度に、いつも何かの形であらわれて来ているというリアクションは、日本文学史の一つの特徴となる相貌である明治、大正の期間に、これが微妙に相関しているのみならず、現代に到って、この点はいっそう複雑化されている・・・ 宮本百合子 「歴史の落穂」
出典:青空文庫