・・・ これ等の記事を読んで私は、教育家が或る程度固定した頭で現実に対する処置を考えている間に、娘たちはよかれあしかれ何と素早く、しかもその愚劣さに於てリアリスティックに動いているであろうかという事実に、心を打たれた。例えば、或る女学生が、私・・・ 宮本百合子 「昨今の話題を」
・・・モスクワでトラムは各クラブをまわり、彼等のリアリスティックな芸術表現で、ソヴェト勤労者が彼等の新文化建設の途上多くもっている今日の問題を批判している。 ――何ていう脚本やるの? 日本女の問に二人のピオニェール少女はきっぱり返事した。・・・ 宮本百合子 「三月八日は女の日だ」
・・・のあゆみ』、『民主主義』のような歪められたもので或る時期をひきまわされ、やがて、理性が発達すればもう一遍、現実認識の方法を自分でもちなおさねばならないような教育をされるよりも、世界の各種社会について、リアリスティックな知識をうける、或はリア・・・ 宮本百合子 「質問へのお答え」
・・・ けれども、今日みれば、リアリスティックな厚みと素朴な熱誠がその作品のネウチで、農村と農民の生活はどこまでも、幼い人道主義的観点から描かれている。農村の窮乏の資本主義による経済的背景、階級としての農民などという認識は、どこにもない。つま・・・ 宮本百合子 「「処女作」より前の処女作」
・・・にやられるということで考えれば、恐らく十人のうち九人までそれを女として耐え難いことだと思うでしょうが、自分から結婚問題として考えて行ったとき恋愛はないけれども、生活には安定しているのだからという点で、リアリスティックに判断した積りで、それを・・・ 宮本百合子 「女性の生活態度」
・・・雄勁であるからこそほとんど優美であり、堅忍でありえてはじめて湛えられる柔和の情感にみち、彼らの科学のようにリアリスティックであり、彼らの生産プランのようにテーマと様式の統一にたいして本気である、そういう文学が、彼らの偉大な勝利ののちに生みえ・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・だいたい、人間の生きかたというものを表から明るくばかり見てゆくものがリアリスティックな文学ではありません。群像の浮彫に、深い明暗があるとおり、立体的に把えられるべきものだが、「わが胸の底のここには」は、いわば鋳ものの裏の方からそのへこみばか・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・や家族、私有財産及び国家の起源に関するエンゲルスの著作などは、その見解に対する賛否はいずれにせよ、その部門での古典として何人も読まざるを得ないものであるから、既にこれらの極めて具体的でありリアリスティックな諸研究のうちに十分とりあげられ、そ・・・ 宮本百合子 「先駆的な古典として」
・・・はじめ学校全体から理科用電池を盗んだと思われたうすのろの伍助の姿、やがてほんとは松井という少年がそれをとったという事実がはっきりして伍助への同情が学校にひろがって来る過程もリアリスティックにとらえられている。全体が自然に、わざとらしいところ・・・ 宮本百合子 「選評」
・・・ いつものメイエルホリド自身の演出から見ると、ずっとリアリスティックで、荒けずりの重さがあり、革命劇場と似た舞台の印象だった。詩劇だから、科白は詩だが、この「射撃」に出演したメイエルホリド劇場の若手の俳優たちが、モスクワ芸術座の俳優のよ・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
出典:青空文庫