・・・それを米川氏が着目して、ルポルタージュとして上々のものという評価から紹介されたものである。 二百六十頁に満たないこの本は、実に面白い。読み終るのが惜しいと思いながらも一気に読めてしまう。そういう魅力の深い本だが、その内容がまた幾つもの文・・・ 宮本百合子 「文学のひろがり」
・・・ これまで新しい人民の文学の発端としてルポルタージュを書くようにということが、文学サークルでもしばしば云われてきています。しかしルポルタージュというものは、もう既に一定の文学様式のジャンルをしめるもので、文学製作のいろいろの条件を必要と・・・ 宮本百合子 「平和運動と文学者」
・・・文学ジャンルとしてルポルタージュ文学の奨励だけでも十分ではないであろう。小市民出身の民主的文学者が実際に自分で生きていっている日々の民主的活動の内容や動きから、出身問題だけをきりはなして、自分を小市民でしかありえない、ときめている例がある。・・・ 宮本百合子 「両輪」
・・・ 熱心に書かれていると思いましたが、やはりまだルポルタージュというものと感想文というものとの区別が、書いている方自身にはっきりつかめていないのが半数を占めたのは残念です。 報告文学と感想文との根本的なちがいは、次のようなところにある・・・ 宮本百合子 「ルポルタージュの読後感」
・・・ 日本の今日の娘の生活という見出しで、たとえばルポルタージュ写真を撮るとなれば、これも手の込んだ仕事になるだろう。あるひと月をきめて、その月に現れる婦人雑誌の口絵写真を眺め合わせただけでも、ひとくにち娘さんと云われる年ごろの若い女性の現・・・ 宮本百合子 「若い娘の倫理」
出典:青空文庫