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・・・隣席のドイツ人も話しかけて、これから通過する鉄路のループの説明をしてくれたりした。山の腹の中でトンネルが大きな輪を描いていて、汽車は今はいった穴の真上へ出て来るのである。T氏が特に興味をもって根ほり葉ほり聞いていたら、そのループのプランをか・・・
寺田寅彦
「旅日記から(明治四十二年)」
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・・・父をカール・シュミット、母をケーテ・ループといい、娘ケーテの生れた時代のシュミット一家は、ケーニヒスベルクの左官屋の親方として、なかなか大規模の生活を営んでいた。 父親のカール・シュミットという人は、ありふれた左官屋の親方ではなかった。・・・
宮本百合子
「ケーテ・コルヴィッツの画業」