・・・もし、文化の問題を云々する人々が、文化の水準の質的、量的な貧弱さと豊富さ、高さと低さとを歴史の光に照らして客観的に比較評価する力を失って、現象的に目前多数者の持つレベルはここであるから、と世界的低賃銀で生きていなければならない日本の民衆の、・・・ 宮本百合子 「全体主義への吟味」
・・・そしてこの鴎外の言葉は、「我々が日本のブルジョア文学者だけを相手にしていたのでは決して文化の世界的レベルをあらわすような文学を生み出し得ない」という教訓をわれわれに与える。「十分の一」のものを「十分の十」のすがたに返し「正しいすがたの中から・・・ 宮本百合子 「文学に関する感想」
手提鞄の右肩に赤白の円い飛行会社のレベルがはられた。「航空ユニオン。27」廻転するプロペラーの速力を視覚に印象させるような配列法でこまかく、赤白、赤白。にとられたものです、それからこれが昨年の。真中に坐ってらっしゃるの・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
出典:青空文庫