・・・いざという場合はソヴェト国家がその陣営に加えられた幼い一員に対して社会的連帯責任を負う。「子供の家」は最後の網となって経済能力の弱い母の手から脱落しようとする子を社会の成員として受けとめるのである。 女の中に予期された母性の経済的独立を・・・ 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
・・・名が急には覚えられないので名刺のうらに書きつけた名札を籠の隅に貼り、良人の注意が主で、今日まで家族の一員となっているのである。 年が更った今いるのは、多く代がわりになった。 或るものは死に、或るものにはふいとしたことから逃げられ、新・・・ 宮本百合子 「小鳥」
・・・それは、作家自身の生活の大衆化であり、作家自身の大衆の一員としての生活感情の現実的な体得である。思うに、今日の現実生活のうちで、真に人間として、芸術家として自分の生き方を考え、求めている作家たちならば、自分たちの境遇がインテリゲンツィアとし・・・ 宮本百合子 「今日の文学に求められているヒューマニズム」
・・・ 元は小学校の先生であった本庄さんは、知りあった頃は作家同盟の一員で、その文学の団体がやがて解体する前後には、荒い波を身にうけていた一人であった。のち『人民文庫』の編輯に力をつくされた。「白い壁」という小説は好評を博した。『人民文庫・・・ 宮本百合子 「作家の死」
・・・社会の一員として有機的生活を営むと云う意識は、米国婦人に於て殊に強く認められると存じます。此点に於ても彼女等は、私共の持たない、或は持たなかった賢さを持って居るのでございます。 C先生。 私は此処までで大体米国婦人の優越点を肯定した・・・ 宮本百合子 「C先生への手紙」
・・・ソヴェト作家は、ソヴェト人民国家の一員である以外にありようはない。この現実のうちに、かぎりない未来の達成と今日の未完成とがあり、文学の生粋なモティーヴがある。そこに作家が生きている社会は、過去のどんな社会の模倣でもないとき、作家がどうして、・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・と認め、同志藤森は、「僕自身いわゆる指導部の一員として」「中條的批難は別として」「僕の知る限り同盟の誰も」「作品を非難しても君の階級的意志を否定する者はない」同志林の才能や長所その他についての「考察や反省は今迄も指導部でされてきた。今後は一・・・ 宮本百合子 「前進のために」
・・・所謂良心的知識人的要素が、経済的文化的現実に即して観察すれば全く大衆の一員でありながら、知識人的意識とでもいうようなものの残像で観念の上では自分たちのインテリゲンツィア性を自意識しながら、実際の結果としては大衆のおくれた底辺に順応しているよ・・・ 宮本百合子 「全体主義への吟味」
・・・ それで興味のある点は、いつでもソヴェト全体が、生活の目標として、努力の目標としている点を子供にも理解させて、子供が大人の生活と同じに、自分が社会の一員として感ずるように、脚本を通して教育して行くということと、それから主題の扱いかたに全・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
・・・その幸福をもっともよろこぶことができ、その不幸をもっとも悲しむことができる。働く大衆の一人を失うことをわれわれは最大の悲しみとするのである。だからすべての人の先頭に立って闘うことができる。その一員たるわれわれになぜこのような無謀なことができ・・・ 宮本百合子 「それに偽りがないならば」
出典:青空文庫