・・・は無理であるけれども、同時代の専門家によって作られる作品を、自分の階級の芸術として一般のプロレタリアートが鑑賞し、再吟味し、果して自分達の生活を再現している芸術かどうかについて、少くとも批判するだけの下地と余裕とは、もう充分つくられて来てい・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・一時頃まで私はあの人のかつら下地に結ったかお、引眉毛の目つき、を思って居た。 ウトウトとして目をさましたら七時頃だった。すぐとびおきて私は、退紅色と紅の古い紙に包んだ鏡と、歌と、髪の毛をもってあの人の家にかけて行った。あの人はよそに出て・・・ 宮本百合子 「つぼみ」
・・・中国は中国、日本は日本、をファッショの立場から主張する文化的下地を最もよくつくるのは、国際的主題によるらしく見えるブルジョア民族主義文学だ。 ブルジョア勃興期に、ブルジョア文学の異国趣味は植民地発見熱の反映として現れた。没落期に入ると一・・・ 宮本百合子 「プロレタリア文学における国際的主題について」
出典:青空文庫