・・・ 何の為にブルジョア国は結束して国際連盟までを動員し、ソヴェト同盟に向って世界戦争の下拵えをやっているか? なぜ、世界のプロレタリアートは、それに対してソヴェトを守れ! と叫ばずには居られないか? それ等のことを我々は知らなければな・・・ 宮本百合子 「若者の言葉(『新しきシベリアを横切る』)」
・・・毎日仕事の下拵えのために没頭して居ります。この頃健康改造のために注射をはじめ、すこしよいようです。今年の冬は、なるたけ火鉢を入れず、よく日に当りという方向で注意するつもりです。道具立てなかなか面白しいろいろの絵の展覧会がありますが、ひまがな・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・今あの往還は海浜のプロムナード国道になるので幅をひろくし、コンクリートにする下拵えですっかり掘りかえされて居ます。もし門がしまっていたら、私が押すからいねちゃん崖をのぼって下さいと云い云い行ったらいい塩梅に門はあいていて、白く浮んだ建物の上・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・ 舞台裏へ行ったら、これからインドの民衆が、イギリス人とブラマンとに反抗して蜂起する大詰の下拵えでいる。黒いインドの子が、赤い旗をせっせと仲間の手から手へ渡していた。〔一九三一年一月〕・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・俺の一心を凝らした点から云えば、カインの仕事をやり遂げて以来、ずっと、あの大騒動の下拵えにかかり切っていたようなものだ。奴等の小屋が幸地続きだったから、幾分都合はよかったものの、蒔いた呪咀の種と、狂暴の酵母の多さ! 俺もよく破産しなかったも・・・ 宮本百合子 「対話」
出典:青空文庫