・・・ だんだん目が馴れて来ると弾が上がって行く途中の経路を明瞭に認める事が出来る、そして破裂する時に、先ず一方へ閃光のように迸り出る火焔も見え、外被が両分して飛び分れるところも明らかに見る事が出来る。風の影響もあるだろうが、それよりもむしろ・・・ 寺田寅彦 「雑記(2[#「2」はローマ数字、1-13-22])」
・・・もし読書界が両分されて半々になるときは圏内圏外共に相応の競争があって、相応の読者を有する訳になります。私は実際の作物にあたって、とかくの評をする事をしない。したがって向後の読書界がどういう作物をどう歓迎するかも云えない。ただ形式ばかりの話で・・・ 夏目漱石 「文壇の趨勢」
遠望であるから細かいところは見えないものと承知していただきたい。 ごく大ざっぱな観察ではあるが、美術院展覧会を両分している洋画と日本画とは、時を同じゅうして相並んでいるのが不思議に思えるほど、気分や態度を異にしている。もちろんそれ・・・ 和辻哲郎 「院展遠望」
出典:青空文庫