・・・もし戦争をせねばならん時には日本へ攻め寄せるは得策でないから朝鮮で雌雄を決するがよかろうという主意である。朝鮮こそ善い迷惑だと思った。その次に「トルストイ」の事が出ている。「トルストイ」は先日魯西亜の国教を蔑視すると云うので破門されたのであ・・・ 夏目漱石 「倫敦消息」
・・・もっとも私の主意はその時の大森君には通じていなかったかも知れませんから、この機会を利用して、誤解を防いでおきますが、私どもの書生時代、あなたがたと同年輩、もしくはもう少し大きくなった時代、には、今のあなたがたよりよほど横着で、先生の講義など・・・ 夏目漱石 「私の個人主義」
・・・コンディヤックの感覚論から出でて、その立場を守りながらかえって主意主義的な理想主義的な立場に行ったのである。私はこういう所に、サン・アンチームの哲学独得の、ドイツやイギリスの哲学と異なったものがあると思うのである。習慣という如きことは、普通・・・ 西田幾多郎 「フランス哲学についての感想」
・・・という一貫した主張をもっており、その主意によって統治を受けた。やっと生活出来る程度の収入だけを残して、あとは皆地頭、領主に取られて来た。農民の女性の生活というものは、全く物を言う家畜という有様であった。しかしこの時代の彼女達の生活が文化の上・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
・・・ キェルケゴオルはその誠実な人格的生活、真生活築造の情熱、及びプラグマチズム風の認識論、特に主意的な人生観、著しい宗教的傾向、ただ宗教心の内にのみ真実になる個人主義、――などにおいて十分注意せられる価値がある。 私がキェルケゴオルを・・・ 和辻哲郎 「「ゼエレン・キェルケゴオル」序」
出典:青空文庫