・・・ 更に、著者はルネサンスという時代と人とに関して書かれている主要な著作を、社会・経済・文化の諸部門にわたってとりあげ、その正当な読みかた、学びかたについての指示まで与えている。著者が、心からのおくりものとして、人間の進歩の歴史を愛し知識・・・ 宮本百合子 「現代の心をこめて」
・・・ 決議はモスクワの主要な金属工場、電気工場が主となって、作家の「師匠役」をつとめようというのだ。 その決議文の中に、こういう大衆からの提議があった。一、作家たちはもっと大衆にわかりやすい文学的言葉をつかってくれ。二、作品の筋・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・人類につくすことを主要な点として押し出されたこと、而して、そのおし出しが、現実生活の中に在って既に一つの人間性の非力化へ導く広き門であることを一部の作家が論じたが、その補強的な論の建て直しは当時の気分によって望ましいようには受けいれられなか・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・だが、一方では、作者は、作中の主要な人物の一人である与作の村の若衆としてはごく特殊な生い立ちや経歴から来る村民との日常交渉について忽卒に過ぎているのは作品の効果を薄める結果となっている。 作者は、非常に多くの頁を木村のために割いてい・・・ 宮本百合子 「作家への課題」
・・・思想的傾向とか、主要観念とかいうものの他、その人の心理的なテンポ、硬度、音波がある。媒介物である文字さえ文法的に正確に捕えたら、その作物の全リズムまで捕えたとは決していえないと私は思う。特定の波長に対しては特定の検波器がある。電波に関するこ・・・ 宮本百合子 「シナーニ書店のベンチ」
・・・今やその民衆の力が、軍隊の主要部を形成するに至った。それが足軽である。だから彼は社会の崩壊を怖れたのである。 以上のごとく、応永、永享の精神から見れば、応仁以後の時代は下剋上の時代、秩序なき時代、社会崩壊の時代であった。この新しい時・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
・・・岡倉先生の主要著作が英文であったため在来日本の読者に比較的縁遠かったことは、岡倉先生を知る者が皆遺憾としたところであった。今その障害を除いて先生の天才を同胞の間に広めることは誠に喜ばしい企てであると思う。 岡倉先生が晩年当大学文学部にお・・・ 和辻哲郎 「岡倉先生の思い出」
・・・むしろあらゆる学問、美術、教養などがその主要な内容となっていた。あたかも大学と劇場と美術学校と美術館と音楽学校と音楽堂と図書館と修道院とを打って一丸としたような、あらゆる種類の精神的滋養を蔵した所であった。そこで彼らは象徴詩にして哲理の書な・・・ 和辻哲郎 「偶像崇拝の心理」
・・・『春』『家』『新生』『夜明け前』と続いた藤村の主要作品を押し出して来た力は、そこにあると思う。 ところで右にあげたような藤村の好みのなかにはっきりと現われている独自な性格は、それが無遠慮に発揮されないで、何となく人の気を兼ねるという・・・ 和辻哲郎 「藤村の個性」
・・・推古仏の特徴は肢体がほっそりした印象を与えること、顔も細面であること、それらを取り扱う場合に意味ある形を作り出すことが主要なねらいであって、感覚的な興味は二の次であることなどであるが、そういう特徴を持つものが雲岡の石仏の中に全然ないとは言い・・・ 和辻哲郎 「麦積山塑像の示唆するもの」
出典:青空文庫