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・・・喜三郎はその夜、近くにある祥光院の門を敲いて和尚に仏事を修して貰った。が、万一を慮って、左近の俗名は洩らさずにいた。すると寺の本堂に、意外にも左近と平太郎との俗名を記した位牌があった。喜三郎は仏事が終ってから、何気ない風を装って、所化にその・・・
芥川竜之介
「或敵打の話」
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・・・「ほか寺の仏事の手伝いやら托鉢やらで、こちとら同様、細い煙を立てていなさるでなす。」 あいにく留守だが、そこは雲水、風の加減で、ふわりと帰る事もあろう。「まあ一服さっせえまし、和尚様とは親類づきあい、渋茶をいれて進ぜますで。」・・・
泉鏡花
「燈明之巻」