・・・しかしとにかくそういう種類の考えも、少なくも一つのヒントとしては役立つであろうと思うので、不謹慎のそしりを覚悟してついでに付記する次第である。 週期的ではないが、リーゼガング現象といくぶん類似の点のあるのは、モチの木の葉の面に線香か炭火・・・ 寺田寅彦 「自然界の縞模様」
・・・この機会についでながら付記しておく次第である。 一 腹の立つ元旦 正月元旦というときっときげんが悪くなって苦い顔をして家族一同にも暗い思いをさせる老人があった。それは温厚篤実をもって聞こえた人で世間ではだれ一人非・・・ 寺田寅彦 「自由画稿」
・・・ 附記。空中の塵埃に関して述ぶべき物理的の事項はなお多数にある。例えば塵埃に光波が当った時に、光電効果のような作用電子が放散され、それが高層空気の電離を起す事、それが無線電信の伝播に重大な関係を持ち得る事、あるいは塵が空中の渦動によ・・・ 寺田寅彦 「塵埃と光」
・・・ここに附記していう。岡鬼太郎君は近松の真価は世話物ではなくして時代物であると言われたが、わたくしは岡君の言う所に心服している。 西鶴の価を思切って低くして考えれば、谷崎君がわたくしを以て西鶴の亜流となした事もさして過賞とするにも及ばない・・・ 永井荷風 「正宗谷崎両氏の批評に答う」
・・・ただ私の場合は、用具や設備に面倒な手間がかかり、かつ日本で入手の困難な阿片の代りに、簡単な注射や服用ですむモルヒネ、コカインの類を多く用いたということだけを附記しておこう。そうした麻酔によるエクスタシイの夢の中で、私の旅行した国々のことにつ・・・ 萩原朔太郎 「猫町」
・・・本著発表の由縁を知るに足るべきを以て茲に附記することゝせり。 明治三十二年九月時事新報記者 識 福沢先生の女学論発表の次第 時事新報の紙上に順次掲載しつゝある福沢先生の女大学評論は、昨日にて既に第五回・・・ 福沢諭吉 「新女大学」
・・・竹の里人付記〔『日本』明治三十二年四月二十三日〕 正岡子規 「曙覧の歌」
・・・升 附記 正岡子規 「ベースボール」
・・・当時伏字にされて今日ではうずめられないところは、その要旨を附記してそのままにされている。終りには「社会と人間の成長」がそえられた。 一九四九年三月〔一九四九年五月〕 宮本百合子 「あとがき(『モスクワ印象記』)」
・・・附記。増田さんの手紙には個人的に返事をかきました。けれども、多くの人に興味のある問題なので、ここに改めてのせます。そして、直接かいた手紙でふれたよりも、もっとひろがった答えとヒントを添えます。〔一九五〇年七月〕・・・ 宮本百合子 「結論をいそがないで」
出典:青空文庫