・・・とならんでいるのでは実際どうも困ってしまいました。そこで仕方なく、「もっと向うへ行かないと、よくわからないわ。」と云いました。「そうですとも。間違っては大へんです。よくおちついて。」と仲人のかえるもうしろで云いました。 ところが・・・ 宮沢賢治 「蛙のゴム靴」
・・・私は若い女のひとは沢山知っているけれども、夫婦の生活が複雑微妙であることを知りぬいているので――最もよい場合を知り、わるい場合を目撃しつつあるので――仲人をやることは大役すぎます。寧ろいやね。紹介をしてあげるのがせきの山です。そう話した。そ・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・結婚した男と女との間で、仲人とか周囲の常識とかを納得させる離婚理由は、誰にでも通用する「さきの見込みがない」ということであるのだろう。愛がうつろい、その冷たさに耐えないで、夫という苦しみの対象から解放されたい女の心も、日本では世帯とか、さき・・・ 宮本百合子 「離婚について」
・・・縁談の場合、男だけが虫のよい註文をつける腹立ち、仮装とトリックとで娘さんに対する仲人というものへの侮蔑の感情、それらはみな若い美しい潔癖であり、つよく娘さんの側から社会的な態度として主張されてゆかなければならない点であると思う。けれども、「・・・ 宮本百合子 「若い婦人の著書二つ」
出典:青空文庫