・・・ けれどもこれら巨細にわたった施設に関しては、札幌農科大学経済部に依頼し、具体案を作製してもらうことになっていますから、それができ上がった時、諸君がそれを研究して、適当だと思ったらそれを採用されたなら、少なからず実際の上に便利でしょう。・・・ 有島武郎 「小作人への告別」
・・・詩は、あきらめて、こんどは、三鷹の義兄に宛てた遺書の作製をこころみる。 私は死にます。 こんどは、犬か猫になって生れて来ます。 もうまた、書く事が無くなった。しばらく、手帖のその文面を見つめ、ふっと窓のほうに顔をそむ・・・ 太宰治 「犯人」
・・・年じゅう人の行かない山の中でこうした生活をして、陸地測量、地図作製という文化的な基礎仕事に貢献しているのである。 測夫の一人はもう四十年も昔からこの仕事をつづけているそうで、北はカラフトから南は台湾まで足跡を印しない土地は少ないのだそう・・・ 寺田寅彦 「小浅間」
・・・為政家が一国の政治を考究する時、社会経済学者がその学説を組み立てる時、教育者がその教案を作製する時、忘れずに少時このレコードの音に耳を傾けてもらいたい。あらゆる心と肉の労働者もその労働の余暇にこれらの「自然の音」に親しんでもらいたい。そうい・・・ 寺田寅彦 「蓄音機」
・・・種々な法規が、消極的意味に於て女性に不便であり或る時は不公平であるとしても、直接法規作製に力める内部からの影響がなければ、改正も覚つかないでしょう。 外廓を廻って叫んでも、原動力とはなりません。例えば、民法第十四、五条、第七百八十八条、・・・ 宮本百合子 「法律的独立人格の承認」
出典:青空文庫