・・・ 更に団結した力とハッキリした指導にしたがって、資本主義の社会施設を真にプロレタリアートの利益のために使えるものとしてゆくこと。 われわれの毎日の生活の中には闘うべきことが多くある。プロレタリアの母のための産院の問題などもこの一つで・・・ 宮本百合子 「「市の無料産院」と「身の上相談」」
・・・ 使っていい金が世間にあっただろうし、そういう金が流れているだけに物は悪くて高くなっているのだから、茶碗一つを買うにしろどうせもとの考えかたでやすくて使えるものがなくなっているのならば、と人々の目は一寸目先の変った品物へひかれるのである・・・ 宮本百合子 「生活のなかにある美について」
・・・一部の人々が今日濫費しているのは、金の力を信じないからこそである。使えるうちに使っているからである。そして、ますます悪循環と偏在とを招いている。 世界の婦人たちが、世界の未亡人の問題を、単にそれら不幸な女性だけに直接な境遇の問題として扱・・・ 宮本百合子 「世界の寡婦」
・・・ 可愛ゆいと云っても、徒に贅沢な着物を着せるではなく、ちやほやするではなく、たとい転んで泣いても自分で起きさせ、自分で壊した玩具なら、自分でなおすなり、工夫してそれを巧く使えるようにするなり、何でも自発力で生活させようとする意識は、如何・・・ 宮本百合子 「男女交際より家庭生活へ」
・・・手に入るものは、プロレタリア文学運動を何処かでゆがめていわゆる自己批判したものや、反対的立場から観察したようなものが多くて、熱心に、理性的な発展的文学の方向をさぐっていた人々は、まるで屑糸の中から使える糸をぬき出して縫物をするように、銘々の・・・ 宮本百合子 「討論に即しての感想」
・・・それらの機械の精巧さ、小学校を出たばかりの女の子でも使えるまで高度に調整され、単純化された分業の過程というものは、少くとも日本の文明のある水準を語るものでなければならないと思う。そのことに疑点を挾むものはおそらく一人もないであろう。 と・・・ 宮本百合子 「婦人の文化的な創造力」
・・・六人家内の家庭で、旧円が使える間の生計費をさしひいたあと、現金で六百円並べてすぐ代えた人が多いか。それとも、人数を掛けただけの百円を揃えかねた人の方が多かったか。 一人宛百円ずつ預金を引出せるときくと、その金は、誰にでもあって、誰かがち・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫