・・・ 新しい文学創造の源泉は決して器用な便乗の手際には存在しない。世界文化の水平線の上に露わされている旧日本文化の後進性とその深い由来とをきわめつくし、その努力を足場として前進して行く明察と勇気との中にこそ新日本文学の端緒が期待されるのであ・・・ 宮本百合子 「新日本文学の端緒」
便乗ということばが、わたしたちの日常にあらわれたのはいつごろからのことだったろうか。 日本の天皇制権力が満州・中国と侵略をすすめて、世間の輿論も、議会の討論も邪魔と考えはじめてから、日本全国には政治がなくなって強権の専・・・ 宮本百合子 「便乗の図絵」
・・・日本のファシズムは便乗してお墨つきで生きているのです。 世界文学について真剣に考える時、このことを忘れてはいけないと思います。口の先であるいはいろいろ印刷物の表面では民主化、民主化といって、日本の民主化は進行している、きわめてスムースに・・・ 宮本百合子 「平和運動と文学者」
出典:青空文庫