・・・これを逐次修正して言語学者の要求に応ずるように近づけて行くことは必ずしも困難ではないが、ここではしばらくこれ以上に立ち入らない事にする。 要するにこれは、表題にも掲げたとおり、比較言語学上における統計学的研究の可能性を暗示するための一つ・・・ 寺田寅彦 「比較言語学における統計的研究法の可能性について」
・・・と云ってそれを修正する。その先生の態度がいかにも無邪気で、ちっとも威張らず気取らないのが実に愉快で胸がすくようであった。 プランクの明るい感じと反対にアドルフ・シュミット教授は何となく憂鬱な感じのする人であった。いつも背広の片腕に黒い喪・・・ 寺田寅彦 「ベルリン大学(1909-1910)」
・・・それが量的に一部は確定され一部は修正されるのにはやはりかなりに長い月日を要するのである。 もちろん質的の思いつきだけでは何にもならないことは自明的であるが、またこれなしには何も生まれないこともより多く自明的である。西洋の学界ではこの思い・・・ 寺田寅彦 「量的と質的と統計的と」
・・・そうしてみた後にわれわれは、事によると、せっかくのその修正の成果が意外にも単調一律なよそ行きの美句の退屈なる連鎖になりおおせたことを発見して茫然自失するようなことになりはしないか。 連句と音楽とのいろいろな並行性を考えるときに、いつも私・・・ 寺田寅彦 「連句雑俎」
・・・アルバイトしている男女学生の生活は、経済安定本部の抽象性の修正者です。日本のわたしたちは、考えるということを禁じられて来たから、きょうの混乱が一層めちゃめちゃなのです。第一、考えること、思想するということを、現実からはなれることと考えた古い・・・ 宮本百合子 「新しい卒業生の皆さんへ」
・・・ 新しい力が、古い根づよいものによって決められ、しかしついにはいつか新しい力が農村の旧習を修正してゆく現実の有様を描いてある。こういう本は字引がいらない。 十一月三日。 時計がまた一時間進んだ。すっかり極東時間――日本と同じ・・・ 宮本百合子 「新しきシベリアを横切る」
・・・ 第一、ソヴェト同盟について、革命以来伝えられているブルジョアの逆宣伝は、我々の常識の中で、どの位修正されて居るだろうか? プロレタリア革命の勝利は、ソヴェト市民、あらゆる働く男女と子供との些細な日常生活までを、どんな驚歎すべき現実的な・・・ 宮本百合子 「若者の言葉(『新しきシベリアを横切る』)」
・・・然し平等院の眺めでさえ、今日では周囲に修正を加えて一旦頭へ入れてからでないと、心に躍り込んで来る美が尠い。「――京都の文化そのものがそうじゃない? 大ざっぱに云って」「或る点そう思う、私も」 全然反対の例にとれる龍安寺の石庭のこ・・・ 宮本百合子 「高台寺」
・・・こんにちの社会と文学の話として、なっとくしようとすれば、田村泰次郎が、きょうのすべての彼自身の現実について修正声明ぬきに、その意図として「『罪と罰』『ボァリー夫人』『女の一生』『凱旋門』に通じる道がひらけるに違いない」と確信しているというこ・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・それによって我々は修正しさらに前進する。 監督は再び少年少女達の横をしずかに通りすぎながら、日本女にねばりづよい熱情をもってささやいた。 ――御覧なさい、彼らはほんとにソヴェトの新人間です。なんと彼らが育つことか! 幼児が図書館・・・ 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
出典:青空文庫