・・・どんな文化人が物価七割の値上げから自由であろう。専門で分れ、文化面、生産面という活動場面で細分されている人民層である間は、抑圧とすべての形での非人間的圧迫に堪える力が弱い。このことは、人民よりも支配者たちがよく知っている。現に労働法の改悪は・・・ 宮本百合子 「前進的な勢力の結集」
・・・ですから職場の闘争で賃金の値上げをたたかいとったにしろ、その闘争の過程で自分が人民的な組織労働者としての人間的な体験を豊かにしたというような経験のし方をしないと、金がよけいとれても侘びしい、組合の闘争や政治教育が低くて経済主義的な活動にとど・・・ 宮本百合子 「平和運動と文学者」
・・・丸公があがったから一般の生活は益々窮地においこまれているのに、和田氏の家庭では、家計が二〇%改善しでもしたのだろうか。丸公値上げについては、都留副長官が、女性改造という婦人雑誌の対談会で、民報の森沢氏からつっこまれて大汗に陳弁している。和田・・・ 宮本百合子 「ほうき一本」
・・・ 生活必需品に対してそういう手当をする政府は、つい先頃、国鉄運賃大幅値上げをした。省線・都電の運賃値上げをして、地域によっては出もしないガス六倍、水道十二倍にすると云った。まさか、出ないガスと水道だから上ったところでメートル代だけです、・・・ 宮本百合子 「モラトリアム質疑」
・・・ 水道十二倍、ガス六倍の値上げが予告されている。私たちの眼は、大きく大きくと見開かれてゆく。生活は、どうなるのだろうか。今日そう思わない人民大衆は一人もあるまいと信じる。全く私たちの生活は、どうなるのだろう。 三月四日の新聞は「月五・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
・・・市は赤字だといって市電従業員の賃銀を下げたが市会では暴力までふるって市議歳費値上げを決定した。府の扶助料とりあげの記事が何となし、その実例を読者の脳裡に思い出させるのは何故であろうか。 五 女を殴る 先日、ある・・・ 宮本百合子 「私の感想」
出典:青空文庫