・・・次の月には焼夷弾が落ちて、全焼してしまった。その火の粉は、うちの屋根にふりそそいだ。又その次の月には、焼けのこった藤堂さんの石垣にぴっしりと爆弾が投じられた。森も何も跡かたなくなった。今年の夏、医者通いをして久しぶりにこの裏通りを通ってみれ・・・ 宮本百合子 「田端の汽車そのほか」
・・・陸軍関係の人的損耗、四九万六千人海軍関係人的損耗、六六万二〇七九人太平洋戦争開始以来一般空襲被害概況死者 二四一、三〇九名負傷者 三一四、〇四一名家屋全焼全壊 二、三三三、三八八戸家屋半・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
・・・号外によれば、一日の十二時二分前、東京及び湘南地方に大地震があり、多くの家屋が倒壊すると同時に、四十八箇所から火を発し、警視庁、帝劇、三越、白木屋、東京駅、帝国大学その他重要な建物全焼、宮城さえ今猶お燃えつつある。丸の内、海上ビルディング内・・・ 宮本百合子 「私の覚え書」
出典:青空文庫