・・・ 共産党の中央部が破壊を蒙った熱海事件がこの一九三二年十月にあり、そのころ共産党中央委員であった岩田義道が、検挙と同時に殺された。翌一九三三年の二月二十日に小林多喜二が築地署で拷問のために虐殺された。つづいて、野呂栄太郎が検挙され、この・・・ 宮本百合子 「解説(『風知草』)」
・・・そこは一本の廊下だがその辺には工場委員会共産党青年ヤチェイカの札が見えるだけで、どこに新聞発行所があるかわからない。 自分は、柵のところに立ってる男に、「新聞発行所はどの室ですか、」と訊いた。「つき当って、右に折れたところだよ」・・・ 宮本百合子 「「鎌と鎚」工場の文学研究会」
・・・ 私は去る四月七日に検束され、はじまりのうちは『働く婦人』の問題などをゴトゴト調べられていたが、二ヵ月目ぐらいから中心が日本共産党へ金を出したとか出さぬとかいう、所謂「同情者」の問題に移りました。何とかして悪法・治安維持法にひっかけよう・・・ 宮本百合子 「逆襲をもって私は戦います」
三月十五日は三・一五の記念日だから共産党の公判を傍聴に行こうとお友達○○○さんに誘われました。わたしはこれまで新聞で公判のことをときどき読んでいましたが、どうもよく本当の様子が分りませんでした。正直に云うとこわいもの見たさ・・・ 宮本百合子 「共産党公判を傍聴して」
・・・三・一五の私たちへつたえる教訓は、一九二八年におこった大規模な共産党と共産主義者に対する弾圧は、これを機会に日本の治安維持法が改悪され、特高警察がおかれ、検事に思想係が出来たというだけのことではなかった。私どもがもっとも銘記すべきことは、こ・・・ 宮本百合子 「共産党とモラル」
・・・マルクスの共産党宣言は一八四八年につくられていたし、ベーベルは「婦人論」を一八七九年に書いていた。ハウプトマンの「織匠」はドイツのシレジアにおいて、国家、資本家、地主と三重の重荷を負わされている「織匠」が耐えかねて反抗した、その事実を主題と・・・ 宮本百合子 「ケーテ・コルヴィッツの画業」
・・・日本の民衆が、永年の間逆宣伝によって現在でもどうやら恐ろしいもののように思いこまされている共産党をさけ、同時に従来の特権勢力の溜りである自由党もさけて、せめても、を心だのみに投票して政権を与えた日本社会党は、あのような醜状をさらして、どんな・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
・・・ 国鉄整理にからんでおこった下山国鉄総裁の死は、最大限に政府の便宜のために利用された。共産党に関係のある兇悪な犯罪事件のように挑発され、一部の知識人さえその暗示にまきこまれた。ところが他殺でないことがわかったきょうでも、まだ死者に対・・・ 宮本百合子 「権力の悲劇」
・・・ 日本共産党は、先ず身をもって自分から河へふみこんで来ているこの男のように、誠実で、献身的な政党だと思います。 日本を今日の破滅におとしいれた何よりの原因は、戦争です。今になって、これを知らないものはありません。この戦争が、日本の全・・・ 宮本百合子 「幸福のために」
・・・ 党に関したものにしろ、ロシア共産党史から、コミンテルンに関するもの、五ヵ年計画に関するパンフレットに至ってはブハーリンの誤謬を簡単に説明したものまで包括している。 その本棚について調べると、或る特定の問題について何を読むべきかが、・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
出典:青空文庫