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・・・忍術というのは明治になっては魔法妖術という意味に用いられたが、これは戦乱の世に敵状を知るべく潜入密偵するの術で、少しは印を結び咒を持する真言宗様の事をも用いたにもせよ、兵家の事であるのがその本来である。合気の術は剣客武芸者等の我が神威を以て・・・
幸田露伴
「魔法修行者」
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・・・走の兵、常に利あらずして勢漸く迫り、また如何ともすべからざるに至りて、総督を始め一部分の人々は最早これまでなりと覚悟を改めて敵の軍門に降り、捕われて東京に護送せられたるこそ運の拙きものなれども、成敗は兵家の常にして固より咎むべきにあらず、新・・・
福沢諭吉
「瘠我慢の説」