・・・もしそれ、中国にいたっては、冤枉の死刑は、ほとんどその五千年の歴史の特色の第一ともいってよいのである。 こう見てくれば、死刑は、もとより時の法度にてらして課されたものが多くをしめているのは、論のないところだが、なんびとかよく世界万国有史・・・ 幸徳秋水 「死刑の前」
・・・斬に処し若くば死を賜える者計うるに勝えぬではない歟、露国革命運動に関する記録を見よ、過去四十年間に此運動に参加せる為め、若くば其嫌疑の為めに刑死せる者数万人に及べるではない歟、若し夫れ支那に至っては、冤枉の死刑は、殆ど其五千年の歴史の特色の・・・ 幸徳秋水 「死生」
・・・作者が漫然と医者の術語を用いて、これに Casuistica と題するのは、花房の冤枉とする所かも知れない。 落架風。花房が父に手伝をしようと云ってから、間のない時の事であった。丁度新年で、門口に羽根を衝いていた、花房の妹の藤子が、きゃ・・・ 森鴎外 「カズイスチカ」
出典:青空文庫