・・・ 吉永の中隊は、イイシに分遣されていた。丘の上の木造の建物を占領して、そこにいる。兵舎の樋から落ちた水は、枯れた芝生の間をくぐって、谷間へ小さな急流をなして流れていた。 松木と武石との中隊が、行衛不明になった時、大隊長は、他の中隊を・・・ 黒島伝治 「渦巻ける烏の群」
・・・一個大隊分遺される、兵士が足らなくて困っている、それに関する訓令を持って来た、と云った。一個大隊分遣される、それゃ、内地へ帰る傷病者の知ったことじゃない。が、田口のなんか事ありげな気配で栗本は直ぐ不安にされた。「また突発事件でもあったん・・・ 黒島伝治 「氷河」
・・・ このコンムーナへ徒党が押しよせたってことが伝わった時、四十露里あっちから赤軍分遣隊がやって来て呉れた」「えれエ小面倒な名前だよウ」 そう云ったのは五十九のティトフだ。 ブリーノフが云った。「パンフョーロフは集団農場のことを聞い・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
出典:青空文庫