・・・ 代作問題だって、突きこんで云えば、ソヴェトでも一九二八年五ヵ年計画第一年頃非常に批判された、プロレタリアート作家の労働者農民の実生活からの分離が原因になってる。日本の先駆的プロレタリアート作家が無統制にブルジョア―ジャーナリズムに利用・・・ 宮本百合子 「ニッポン三週間」
・・・すでに他の同志たちは分離公判が終結していた。被告宮本ただ一人、傍聴者は弁護士と妻と看守ばかりという法廷であった。戦争に気を奪われ左翼の存在を忘れさせられた人々は殺人の公判には傍聴に入っても治安維持法の公判廷には姿を見せなくなった。治安維持法・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・が、革命力の高揚しているドイツの情勢はその情勢だけ切りはなして説明的に描かれ、日本人群の日常生活の描写のうちへ滲透し、盛込まれ、不分離な力としては書かれていない。 読んだあとの印象では、従ってドイツ・プロレタリアート・農民の巨大な燃える・・・ 宮本百合子 「プロレタリア文学における国際的主題について」
・・・ 文学の大衆化を云うのであるならば、こういう生活と文学との古風な分離の常套感を、先ず人々の感情から一掃する必要がある。毎日の生活の中へ確かりと腰を据え、その中から描いてゆくこと。自分のこの社会での在り場所を、人及び作家としての気構えで統・・・ 宮本百合子 「文学の大衆化論について」
・・・農村と都会との分離、対立は文化の面だけでさえ傷ましい裂け口を深めつつある。農村の人々が都会人に対する感情には実にひとくちにいいつくせぬものが籠っているのであるが、それならばといって、都会の住民の九十パーセントは、今日果してどういう現実に生き・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・からの分離の動因ともなったハリコフ会議、一九三〇年十一月に、ウクライナ共和国首府ハリコフで行われた国際革命文学書記局第二回世界大会の日本のプロレタリア文学運動に関する決議が、この大会で一九三一年度の「ナップ」活動方針に具体的に討議されるはず・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・今日好意ある節度を守るのであるが、山本氏として、この作者の立て前とする範囲内で、而も、允子の棲んでいる世間並のいいこと、わるいことの評価と、允男の行動に対する歴史的な意味についての無理解とが、世俗的な分離のまま一分も深められていないのはどう・・・ 宮本百合子 「山本有三氏の境地」
・・・離婚は、いつでも、結婚の純潔と互の責任を完うするための分離としてしかあり得ない。「家」を主にして生活が運転されていた時代は、妻は嫁であり、その妻が母となっても、お母さんである嫁であった。離婚しても、嫁、または子をもった嫁が、その家を去ら・・・ 宮本百合子 「離婚について」
出典:青空文庫