・・・それでも西洋料理は別格通でなかったと見えて、一向通もいわずに塩の辛い不味い料理を奇麗に片附けた。ドダイ西洋料理を旨がる田舎漢では食物の咄は出来ないというのが緑雨の食通であったらしかった。 本所を引払って、高等学校の先きの庭の広いので有名・・・ 内田魯庵 「斎藤緑雨」
・・・ 文学を別格に生きて来たものは、出版企業の枠からしばしばあふれ出して、営利性を外から見る立場におかれて来ているから、文学の仕事がじかに民衆とその歴史のものであることを痛感せざるを得ないのである。 私としては労研のアンケートの最後・・・ 宮本百合子 「作家への新風」
・・・ とうに別格官幣大社になるはずではあるけれ共、資産のとぼしいばかりに今も尚、幾十年かたここに建てられたと同じ位に居なければならないのであった。 それほど差し迫った生活の味を知らない私共は、真の貧と云う事は知らない。 精神的に慰安・・・ 宮本百合子 「農村」
出典:青空文庫