・・・記者は是等の正論を目して嫉妬と言うか。我輩は之を婦人の正当防禦と認め、其気力の慥かならんことを勧告する者なり。記者は前節婦人七去の条に、婬乱なれば去ると記し、婦人が不品行を犯せば其罪直に放逐と宣告しながら、今こゝには打て替り、男子が同一様の・・・ 福沢諭吉 「女大学評論」
・・・ 我が輩は前節において、教育改良の意見を述べ、その主とするところは、天下の公議輿論にしたがいてこれを導き、自然にその行くところに行かしめ、その止まるところに止まらしめ、公議輿論とともに順に帰せしむること、流にしたがって水を治むるが如くな・・・ 福沢諭吉 「徳育如何」
・・・なお進んで吟味を遠くすれば、その父母の父母たる祖父母より以上曾祖玄祖に至るまでも罪を免るべからず。前節にもいえる如く、人の心の不徳は身の病に異ならず、病毒の力能く四、五世に遺伝するものなれば、不徳の力もまた四、五世に伝えて禍せざるを得ず。さ・・・ 福沢諭吉 「日本男子論」
出典:青空文庫