・・・それは、どうかと思われるけれど、しかし、剛直、潔白の一面は、たしかに具有していた。学校の成績は、あまりよくなかった。卒業後は、どこへも勤めず、固く一家を守っている。イプセンを研究している。このごろ人形の家をまた読み返し、重大な発見をして、頗・・・ 太宰治 「愛と美について」
・・・大沼なんぞは馬鹿だけれども剛直な奴で、重りがあった。」 こう言いながら、火鉢を少し持ち上げて、畳を火鉢の尻で二、三度とんとんと衝いた。大沼の重りの象徴にする積りと見える。「今度の奴は生利に小細工をしやがる。今に見ろ、大臣に言って遣る・・・ 太宰治 「花吹雪」
・・・それは、どうかと思われるけれど、しかし、剛直、潔白の一面は、たしかに具有していた。学校の成績はあまりよくなかった。卒業後は、どこへも勤めず、固く一家を守っている。イプセンを研究している。このごろ「人形の家」をまた読み返し、重大な発見をして、・・・ 太宰治 「ろまん燈籠」
出典:青空文庫