・・・ 自立劇団が大変上手になったけれども新劇のあとを追っているという可能性があるように、絵画のような訓練の要る、材料に費用のかかる芸術では、職場といっても、そこの画家たちはいわゆる労働者ばかりではないでしょう。職場からの絵画のなかに、むしろ・・・ 宮本百合子 「第一回日本アンデパンダン展批評」
・・・まして、すべての新劇団が、一九五〇年は五・六月ごろから著しく財政困難に陥って、熱心で技量のある俳優たちが無給で奮闘している現在、芝居に新しい息吹きが加えられることになれば、それはいいことだと思う。ジャーナリズムのるつうさと「非常に職業化して・・・ 宮本百合子 「人間性・政治・文学(1)」
・・・ 新協の俳優が、他のどの劇団にもない歴史的な立場と任務とを持っていることは明らかであり、その自覚から各人が人及び芸術家として、日本の過去の如何なる名優も持たなかった希望と誇りとを持つことは当然です。けれども、その新しい歴史性の自覚は、そ・・・ 宮本百合子 「一つの感想」
・・・九四五年の冬から活溌におこった労働組合の活動と労働者階級の文化活動は、支離滅裂に流れてゆく商業的な文学の空気を貫いて文学サークルを生み出し、全逓従業員の文学作品集『檻の中』、国鉄の詩人たちの詩集、自立劇団の誕生につれて続々あらわれた堀田清美・・・ 宮本百合子 「婦人作家」
・・・そして、新協劇団のトラックが劇場人のメーデーらしく、揃いのなりをした俳優たちを満載して来て、シュプレヒ・コールをうたい大喝采をうけた。青年共産同盟の若々しい合唱団もトラックにのって来ていて、新協とかわりがわり歌をうたい、よろこびの日の賑わい・・・ 宮本百合子 「メーデーに歌う」
・・・名古屋の或る素人劇団によって「穴」が上演された。その頃学校を休んでは、大入場に入ってよく芝居を見る。以前にはかなり勤勉な学生であったが、落第して以来、勉強する気頓になくなる。この気持大学を卒るまで続く。夏、北海道及び樺太に旅行。 一九一・・・ 宮本百合子 「山本有三氏の境地」
出典:青空文庫