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・・・「医大の生徒なんだ。どっちがどうだかわからないけれど、悪くいえばふみ江が引っかけようとした形さ。本当に引っかけたのならそれもいいけれど、そこがあやふやだから困る。もっともそれを見究めなかったのは、己にもあやふやなところがあるからだ」道太・・・
徳田秋声
「挿話」
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・・・顔だちとしては、一人一人が別の自分の顔立ちをもってはいるけれども、奇妙な無表情の鈍重さが、どの顔にも瀰漫している。医大の制帽の下の眉の濃い顔の上にも。無帽で、マントをきた瘠せた青年の顔の上にも。しかも、その顔々は、図書館の広間に集り、街頭に・・・
宮本百合子
「図書館」