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・・・しかし彼はそのあとへ、「位よりも卑下すれば、我身の罰が当る」と付け加えている。自敬の念を失うことは、驕慢と同じく罰に価するのである。ここに我々は、実力格闘の体験のなかから自覚されて来た人格尊重の念を看取することができるであろう。彼はこういう・・・
和辻哲郎
「埋もれた日本」
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・・・新しい価値、自由にして剛健な内よりの道徳、個性の尊重、真の意味の実行、享楽の卑下、より高い者を実現するための誠実なる悩苦の生活。世紀末から世紀始めへかけて五六の偉人がその礎石を置いた。キェルケゴオルもまたその内に伍するのである。 こ・・・
和辻哲郎
「「ゼエレン・キェルケゴオル」序」