・・・ 当時は、技術的に一応出来上っていた同伴者作家が、全露作家協会の指導勢力であった。トルストイ百年記念祭が一九二八年にモスクワの大劇場で行われたが、そのとき、外国からの客、ツワイグやケレルマンがそこに立って挨拶した演壇へ出て祝辞をよんだソ・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・バルザックについての感想をかくところです。 ゴーゴリ全集やバルザック全集からこの頃はモリエールの全集まで出るの。バルザック協会がゲーテ協会に対するものとして出来て、なかなか古典は出版されます。出版されるのであって、真に研究されるのでない・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・藤村は国際文化協会という役所から後援され、ペンクラブの大会へ出かけて居ります。昔、フランスへ茶の実をもって行ったように今度のおみやげも日本の植物の実と柿本人麿の和歌です。横光利一はパリにいて、一九二九年以来の花の散ったパリ[自注10]を見て・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・日本出版協会は、日本民主化のために有益な出版を鼓舞しようとするたてまえから、さる六月エロ・グロ出版物追放の仕事に着手した。この仕事は、一応すべての人の常識にうけ入れられる性質をもっている。エロ・グロ出版物の数が減ってより良書が一冊でも多く売・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・このごろ出版協会の文化委員会に出る婦人雑誌のリストの中で『働く婦人』が首位を占める数種の中にちゃんと自分の歴史的な位置をしめしているのを、わたしはいつも感情にふれるものとしてながめる。『働く婦人』三月号に、村山知義さんの「結婚」という連・・・ 宮本百合子 「さしえ」
・・・ とっつきが国防科学協会の研究室だ。壁にかかってる毒ガス演習の実写、飛行機図解、銃器図解の前へ数人若い男女がかたまって案内の豆電燈をつけたり消したりしているのが見える。「帝国主義トファッシズムニ対抗セヨ」赤いプラカート。 戸のしまっ・・・ 宮本百合子 「三月八日は女の日だ」
・・・これまでの放送協会の仕事ぶりには、いろいろの批判が加えられなければならない。内部の運営が民主的でないこと、プログラム編成が低俗であり昨今は労働、農民、報道、子供のための放送にはっきり民主化からの後退が示されてきていることが世論にのぼっている・・・ 宮本百合子 「三年たった今日」
・・・近ごろ帰一協会などでは、それを子供のために悪いと言って気づかっている。 寒山詩が所々で活字本にして出されるので、私のうちの子供がその広告を読んで買ってもらいたいと言った。「それは漢字ばかりで書いた本で、お前にはまだ読めない」と言うと・・・ 森鴎外 「寒山拾得縁起」
・・・ 訳本ファウストが出ると同時に、近代劇協会は第一部を帝国劇場で興行した。帝国劇場が五日間連続して売切になったのは、劇場が立って以来始ての事だそうだ。そこで今日まで文壇がこの事実に対して、どんな反響をしているかと云うと、一般にファウストが・・・ 森鴎外 「訳本ファウストについて」
日本文化協会の催しで文楽座の人形使いの名人吉田文五郎、桐竹紋十郎諸氏を招いて人形芝居についての講演、実演などがあった。竹本小春太夫、三味線鶴沢重造諸氏も参加した。人形芝居のことをあまり知らない我々にとってはたいへんありがたい催しであっ・・・ 和辻哲郎 「文楽座の人形芝居」
出典:青空文庫