・・・(事は文久三癸亥 この事情に従て維新の際に至り、ますます下士族の権力を逞うすることあらば、或は人物を黜陟し或は禄制を変革し、なお甚しきは所謂要路の因循吏を殺して、当時流行の青面書生が家老参事の地位を占めて得々たるがごとき奇談をも出現すべ・・・ 福沢諭吉 「旧藩情」
・・・書の不足する所はしばらく漢書をもって補い、習字・算術・句読・暗誦、おのおの等を分ち、毎月、吟味の法を行い、春秋二度の大試業には、教員はもちろん、平日教授にかかわらざる者にても、皆、学校に出席し、府の知参事より年寄にいたるまで、みずから生徒に・・・ 福沢諭吉 「京都学校の記」
・・・ そのときの役が参事司補。曾祖母と隣りの老人とが日向で話している。「今度のお役は何というお役むきでありますか」「参事司補であります」「ホウ、三里四方でありますか?」そういう対手も耳が遠いが曾祖母もやっぱり同様なので、おとなしく「ハイ、そ・・・ 宮本百合子 「明治のランプ」
出典:青空文庫