・・・先生の自然観人世観が始めから多分に俳句漢詩のそれと共通なものを含んでいた事は明らかであるが、しかしまた先生が俳句漢詩をやった事が先生の自然観人世観にかなりの反作用を及ぼしたであろうという事も当然な事であろう。ともかくも先生の晩年の作品を見る・・・ 寺田寅彦 「夏目先生の俳句と漢詩」
・・・於て正反対であるけれども、それはやはり飽く迄性格的なものとして見られていて、作者は、佐橋の朝鮮までの高とびの因子が、到るところに垣を結っている息苦しいその時代の君臣関係の、臣として求められる限界性への反作用という点でテーマを扱ってはいないの・・・ 宮本百合子 「鴎外・芥川・菊池の歴史小説」
・・・として、左右両翼の反作用の時を、袖手傍観しないで促進するためにもと、世界人権宣言に改めて深い関心をよせている。 一九四九年の社会政治現象に対してこのような態度を示している中野好夫が、どうして、商業化している文壇的な創作月評座談会などで、・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・即ち行動主義は肉体と機械の発見によって、それらに作用されかつ反作用する個人の感性、智性、意欲の方向と状態を表現することによって近代的人性を啓示する。 小松清氏は、この行動主義文学の理論が多分にニイチェ的なものを含んでいることを承認してい・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・それから、一人の少女が若い女となってゆく過程で日本の当時の自由主義がどうその成長に影響し、またつよくのこっている封建性が、どう反作用を加えたかという物語である。 いまから三十年もむかし、中流の家庭では一人二人の家事手伝いの女をもっている・・・ 宮本百合子 「私の青春時代」
出典:青空文庫