・・・さっきの誓いも何もかもみんな取り消しだ。ギイギイギイ、フウ。ギイギイフウ。」と云いながら向うへ走って行ってしまいました。二人は落ちながらしっかりお互の肱をつかみました。この双子のお星様はどこ迄でも一緒に落ちようとしたのです。 二人のから・・・ 宮沢賢治 「双子の星」
・・・豚があんまり陰気な顔をしたものだから校長は急いで取り消しました。 それから農学校長と、豚とはしばらくしいんとしてにらみ合ったまま立っていた。ただ一言も云わないでじいっと立って居ったのだ。そのうちにとうとう校長は今日は証書はあきらめて、・・・ 宮沢賢治 「フランドン農学校の豚」
・・・ 川口検事「不穏当と認められるならば取り消します。」 ところが、午後の法廷がひらかれると、この日も思いがけない事態が発生した。被告につづいて各主任弁護人の陳述に入ったとき、竹内被告の主任弁護人は誰かという問題が起ってきた。竹内被告が・・・ 宮本百合子 「それに偽りがないならば」
・・・竹内被告をのぞく十一名の全被告が意見開陳にあたって、強力に、公訴取消しを要求した。その理由は、この事件の取調べは、検事側の威嚇と独断と術策によってすすめられたもので、人権は蹂躙された。したがって被告としては各自にとって事実無根の公訴をみとめ・・・ 宮本百合子 「それに偽りがないならば」
・・・彼女が自分の口から、来るな、会わない、と迄云い切ったのを、今更取り消し、折れることが、如何に、性格として不可能かは判って居る。其故、彼女を立て、此方から、被来って下さいと云うのに、何故からりと、朗らかに、その譲歩を受けられないのだろう。・・・ 宮本百合子 「二つの家を繋ぐ回想」
・・・と特記されているのであるが、秋に「父が死去したので、入学を取消し、家事の後始末をするため、荷物を背負って商いをやる。」一九〇八年。「家事整理の傍ら、受験勉強をなし、再び高等学校の入学試験に応ず。学科試験には優良の成績で及第したが、体格検査の・・・ 宮本百合子 「山本有三氏の境地」
・・・改正案では、子が婚姻をするのは年齢を問わず、父母、祖父母の同意がいることになり、未成年者がそれに反した婚姻をすると、父母、祖父母が取消してよいことになっている。元は男三十歳女二十五歳以後は婚姻は自主的にされたが、改正案によれば例え四十の男と・・・ 宮本百合子 「若い婦人のための書棚」
出典:青空文庫